日本保健福祉学会会長を拝命して
ごあいさつ:而立を迎える日本保健福祉学会の役割
筑波大学大学院 安梅勅江
このたび日本保健福祉学会会長を拝命いたしました。25年の学会の歴史の重みを感じつつ、さらなる発展に向け全力を尽くすつもりです。 会員のみなさまの変わらぬご支援とご指導のほど、どうかよろしくお願い申し上げます。
昨年、私たちは震災という大きな試練に直面しました。「命を守る」「命を支える」という保健福祉に対する根本的なニーズや問いかけから、多くのことを学びつつあります。また世界は大きな転換期を迎えています。グローバル化と高度情報化、地球規模の人口増と先進国の少子高齢化にともなう生活環境の変化、地縁や血縁の脆弱化が顕著です。もはや、保健、医療、福祉、教育、心理、社会、経済、法律などヒューマンサービス領域において、既存の方法のみでは十分な対応が困難です。保健学、福祉学をはじめとする諸学問の個別アプローチのみならず、統合的なアプローチ、学際学融合が求められ、行政的には保健福祉が一体化した体制が整備されつつあります。しかし必ずしも、その学問的裏づけが確立されているとは言い難い状況です。
そこで生涯発達の視点にもとづき、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな健康の維持増進を総合的に支援する保健福祉システムの開発、およびそれを支えるマンパワーの育成が重要となります。また当事者ニーズをとらえ、柔軟に対応可能な支援体制の充実が望まれています。当事者やその組織、地域の力を最大限に引き出すエンパワメント(いわば活生力(いきいきいきるちから)、絆育力(きずなはぐくむちから)、共創力をつむぐこと)に基づく「エンパワメント科学」、当事者主体の包括的な支援の実現が期待されています。
日本保健福祉学会は学際学融合的な学問領域として、「保健福祉学」の理念、歴史、文化、方法など基本的な研究課題にとどまらず、実践に根ざした当事者主体の応用的な研究を行い、上記期待に応え社会に貢献することを目的としています。 保健福祉における研究と実践の「当事者を核」とした相乗発展に向け、広く保健、医療、福祉、教育、心理、社会、経済、法律など、多くの関係者の参加をお待ちしています。